加味帰脾湯とは

加味帰脾湯

加味帰脾湯

かみきひとう

心身が疲れて血色が悪く、不安感や不眠がある方の、貧血や精神不安、神経症などに用いられる代表的な処方です。体力が中くらいより少ない方に向いています。

不眠不安感・気持ちが落ち着かない心身の疲れ血色が悪い・貧血ぎみ考えすぎてしまう

基本情報

加味帰脾湯(かみきひとう)は、中国・明の時代の医書『内科摘要(ないかてきよう)』などに記載されている処方で、人参・白朮・茯苓・黄耆・当帰・酸棗仁・竜眼肉・遠志・柴胡・山梔子など14種類の生薬から構成されています。

胃腸(脾)の働きを補って血を作り、心を落ち着かせる「帰脾湯(きひとう)」という処方に、柴胡と山梔子を加えた(=加味した)ことから、この名がつけられました。帰脾湯の働きに加えて、イライラやほてりなど、こもった熱を鎮める働きをもっています。

体力が中くらいより少なく、心身が疲れて血色が悪い方で、ときにほてりなどの熱感を伴う場合に用いられます。心配事や考えすぎで眠れない、気持ちが落ち着かない、元気がなく口数が少なくなるといった状態の貧血、不眠症、精神不安、神経症などに使われている処方です。

効能・効果

一般用医薬品 添付文書情報より
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:
貧血、不眠症、精神不安、神経症

構成生薬(14種類)加味帰脾湯は、以下の14種類の生薬から構成されています。

こんな方におすすめ

  • 考え事をすると眠れない
  • 不安で気持ちが落ち着かない
  • 心も体も疲れきっている
  • 顔色が悪く貧血ぎみ
  • イライラしたりほてったりする

体力が中くらいより少なく、疲れやすい方に向いている処方です。心配事や考えすぎで寝つけない方、眠りが浅く夢をよく見る方、不安で気持ちが落ち着かない方、元気がなく口数が少なくなっている方、顔色が悪く貧血ぎみの方、胃腸が弱く食欲がわかない方などに用いられます。疲れているのにイライラしたり、ほてったりする場合にも使われています。

漢方的な考え方

漢方では、考えすぎや心配事、過労が続くと、食べ物から「気(き)」や「血(けつ)」を作る胃腸(脾)の働きが弱まり、心を支える血が不足すると考えます。血が足りないと、夜に高ぶった気を十分に鎮められず、眠りが浅くなったり、不安感が強くなったりするとされています。

加味帰脾湯は、人参・白朮・茯苓・黄耆・甘草・大棗が胃腸の働きを高めて気を補い、当帰と竜眼肉が血を補います。酸棗仁と遠志が心を落ち着かせて眠りを助け、木香が気の巡りを整えます。さらに柴胡と山梔子がこもった熱を冷まして、イライラやほてりを鎮めます。胃腸を立て直して気と血を補いながら、心を落ち着かせるのが、この処方の特徴です。

飲み方

一般的には、1日2〜3回、食前または食間(食後2時間ほど経った空腹時)に、水またはぬるま湯で服用します。

1回の量や回数は製品によって異なりますので、お使いの製品の説明書に従ってください。

よくある質問

Q加味帰脾湯はどんな方に向いていますか?

A
体力が中くらいより少なく、心身が疲れて血色が悪い方の、不眠や不安感、貧血などに用いられることが多い処方です。心配事や考えすぎで眠れない方によく使われています。

Q帰脾湯とはどう違いますか?

A
加味帰脾湯は、帰脾湯に柴胡と山梔子を加えた処方です。帰脾湯の働きに加えて、こもった熱を冷ます働きがあるため、イライラやほてりを伴う場合に用いられます。

Q加味逍遙散や抑肝散とはどう違いますか?

A
加味帰脾湯は、心身の疲れや血色の悪さが目立ち、不安や考えすぎで眠れない方に用いられます。加味逍遙散はのぼせや月経・更年期の不調を伴う方に、抑肝散は神経がたかぶって怒りやすい方に用いられることが多い処方です。

Qどのくらい飲み続ければ良いですか?

A
効果の感じ方には個人差があります。お使いの製品の説明書に書かれている期間服用しても症状が良くならない場合は、服用を中止して、薬剤師・登録販売者・医師にご相談ください。眠れない状態や気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、医療機関にもご相談ください。

Q服用に注意が必要なのはどんな人ですか?

A
加味帰脾湯には甘草が含まれています。ほかに甘草を含む漢方薬や薬を飲んでいる方、医師の治療を受けている方、妊娠中の方、胃腸が弱く下痢しやすい方、高齢の方、むくみのある方、高血圧・心臓病・腎臓病と診断された方は、服用前に専門家にご相談ください。また、山梔子を含むため、長期間(数年以上)続けて服用する場合は、定期的に医師にご相談ください。

Q加味帰脾湯はツムラの何番ですか?

A
医療機関で処方されるツムラの医療用漢方製剤では、加味帰脾湯は「137番」です。この番号はツムラが製品につけている整理番号で、ほかのメーカーでは番号が異なったり、番号がついていなかったりします。同じ処方名でも、メーカーや製品によって生薬の量などが違う場合があるので、気になる方は薬剤師・登録販売者にご相談ください。

参考文献

服用にあたって

上記の効能・効果や構成生薬は、公的な医薬品情報に基づく一般的な内容です。実際の服用にあたっては、体質や他の服用薬との組み合わせによって適否が異なるため、自己判断での購入・服用ではなく、薬剤師・登録販売者・医師にご相談ください。

あなたの体質に合わせて調整することもできます

一心堂薬局では、加味帰脾湯のような既製の処方をそのままお渡しするだけでなく、問診を踏まえて生薬の配合バランスを調整するオーダーメイド漢方もご提案しています。「なんとなく合わない気がする」という方も、お気軽にご相談ください。

荻秀康
荻秀康(薬剤師) / 漢方専門 一心堂薬局
漢方薬局にて7年勤務。体質相談・オーダーメイド漢方のご提案を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効能を保証するものではありません。体質や症状には個人差があり、服用にあたっては薬剤師・登録販売者・医師にご相談ください。